脳科学と心理学から語る子育てのホントのところ

子育て全般について、主に脳科学と心理学の観点から、本当に大切なことをメモ代わりに書き綴っていきます。

自尊心を高める子育てのホントのところ 能力への自信編

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前回の記事の続き

 

その前に少しだけ振り返りを。

 

自尊心の正体はズバリ

① 存在への自信

② 能力への自信

でございます。

 

まずは、存在への自信を高めませう。

その方法は、

①人は人。みんな違うんだという意識

②子育ての極意5つ「見つめる」「微笑む」「話しかける」「褒める」「さわる」

③家族で食卓を囲もう

④お誕生日を祝おう

というお話。

 

存在への自信をつけるのは、主に大人の役目。

特に保護者の大きな役目と言えます。

 

その続きである今回は、能力への自信。

 

ここからは、大人はもちろんですが、大人の手を離れ、自分自身の話にもなってきます。

 

というわけで、早速本題へ。。

 

 

能力への自信とは

 

自分の出来ることに対する自信です。

専門用語的には、自己効力感に近いモノです。

 

自己効力感とは、

自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知。 ウィキペディアより

 

要は自分が持っている(と思っている)能力への自信です。

 

能力への自信をつける方法

では、能力への自信はどうやって高めるか。

その方法は、大きく4つ。

1.成功体験を積む

2.失敗をバネにする

3.過程を大切にする

4.自分自身で高める

です。

では、順番に。

 

①成功体験を積む

★ 成功体験≠褒める

成功体験を積むというと、「褒める」という人が多くいます。

 

確かに褒めることは大切です。

 

前記事で、存在への自信を高める方法としても紹介しました。

5つの「子育ての極意」の中の1つです。

 

ただ、能力への自信は、褒めるだけでは高まらないと考えています。

 

何かができた時に褒められ、それがその子にとって喜びになれば、能力自体は伸びます。

 

ですが、その伸びた自分の能力が、「能力への自信」に直結するとは限りません。

 

成功体験に結びついていない場合かそれです。

 

能力への自信につなげるには、伸びた能力で何らかの成功体験をすることが必要になります。

 

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たとえば、ボール遊び。

ボールを蹴って遊んでいる時。

上手に蹴ったのを褒められると、「ボールを蹴る」という能力は高まりやすくなります。

しかし、上手に強く蹴れても、子どもが自分で蹴りたいと思っている方向へ蹴れていない場合。

褒められたとしても成功体験とは言えません。

 

ボール蹴りをしていて、たくさん褒めているのに、すぐに飽きる、、。

 

その場合は、子ども目線でみると、成功体験になっていない可能性が考えられます。

 

成功体験を積み上げるには、子どもが目指している目標や、やってみたい行動の目安をある程度決める、または把握しておく必要があります。

 

★ 目標設定の仕方

ここで重要になるのが、「目標設定」です。

 

成功体験を100%活かす目標設定があります。

それは、自分の能力のほんの少し上を目標とすることです。

 

曖昧ですが、、。

 

「頑張ればなんとかクリアできそう!」

 

なところを目標にするわけです。

 

運動に限りません。

勉強や、コミュニケーションスキル、食事などの目標設定も同じです。

 

なぜなら、その時に脳が強く活性化されるからです。

 

たとえば、りんごの皮むき。

手慣れた人がしても、脳は活性化しません。

しかし!

慣れてない人が、一生懸命皮むきすると、脳は活性化します。

 

別の例を。

少し前に話題になりました。

読み書き計算が認知症の改善に効く!(by川島隆太博士)っていうやつ。

 

簡単な読み書きと計算で認知症の方の前頭葉が活性化すると言われました。

 

ここで注目ポイント。

「認知症の方の」

という点。

 

つまり、我々健康な大人が同じように読み書き計算をしてもほとんど脳は活性化しません。

 

簡単すぎるからです。

 

ですが、同じレベルの読み書き計算で健康な大人の脳も活性化させる方法があります。

 

「早くする」「少しでも早く終わらせる」ようにすることです。

 

できるだけスピードアップすると、脳が活性化し始めます。

 

慣れたことでもスピードを上げると、ハードルが上がり、高いパフォーマンスを発揮しなくてはなりませんので、脳が活性化せざるを得ないという理屈です。

 

もちろん、リンゴの皮むきに慣れた人でも、タイムを競えば途端に脳は活性化するはずです。

 

というわけで、目標設定はいつも自分の実力よりちょびっとだけ上に設定するのがベストというわけです。

ちょっと苦労するレベルの時に脳が活性化するのであります。

 

★ スモールステップで細かく段階を分ける

とはいえ、そんなに都合の良いレベルの目標が常にあるワケでもないですよね。

 

たとえば、鉄棒。

「前回りができるようになりたい」

と思って、目標設定を「前回り」と設定したはいいけど・・。

まだ到底できるわけもない実力の時。

これでは、本人にとって難しすぎるので、脳の活性化どころではありません。

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とはいえ、

その前段階に目標を設定しようとしても、前回りの前段階って・・・。

 

どーすんのよ?

 

と、思われるかもしれません。

 

そんな時、幼稚園や専門機関、子育ての上手な人は、スモールステップという考え方で目標設定をしています。

 

スモールステップ。

 

簡単に言うと、目標を細かく細かく・・細かく細かく分けるということです。

その名の通り、一段の高い段を、たくさんの低い段に変えて乗り越えやすくするワケです。

 

たとえば、

鉄棒の「前回りをしたい」という大目標があるとします。

その前にたくさんのステップを作ります。

 

・鉄棒をつかむ(上手で親指を出す)

・台を使って(以下、台有り)鉄棒に乗る(つばめのポーズ)

・つばめのポーズのまま10秒維持(台有り)

・つばめのポーズから頭を下げるて洗濯物ポーズ(台有り+先生補助有り)

・鉄棒をもってジャンプする(台無し)

・鉄棒をもってジャンプして胸に鉄棒を付ける(台無し+補助有り)

・鉄棒をもってジャンプして胸に鉄棒を付ける(台無し+補助無し)

・鉄棒をもってジャンプしておへそに鉄棒を付ける(台無し+補助有り)

・鉄棒をもってジャンプしておへそに鉄棒を付ける(台無し+補助無し)

・ジャンプしてつばめのポーズ(台無し+補助有り)

・ジャンプしてつばめのポーズ(台無し+補助無し)

・ジャンプしてつばめのポーズ10秒(台無し)

 ・・・・・

という具合に無限にステップを作れます。

この後も、前回りまでにまだまだステップを用意することができます。

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このステップ1つ1つを目標として設定するわけです。

 

もちろん、運動だけに限った話ではありませんでして。

 

たとえば、

「嫌いなピーマンを食べる」

「”あ”という文字を上手に書く」

はたまた、

トイレに行きたがらない子にたくさんのステップを用意して、トイレに行きやすくする。

なんてこともできます。

 

そして、目標達成の度に「良い事」が起こるようにする。

これで成功体験を積み上げていけるというわけです。

 

とはいえ、スモールステップを作るのも技術です。

子どもの様子を見ながらどんなステップを、いくつ用意するか考えます。

それは職人技とも言える作業ですので、慣れるまではなかなかうまくカモしれません。

 

②失敗をバネにすること

成功体験を積むと言いながら、失敗をバネに・・って。

矛盾するように感じるかもしれません。

 

ですが、現実問題、失敗は避けて通れません。

失敗を繰り返しながら、成功体験を積み上げるしかないでしょう。

 

なので、失敗に価値があるということを教えないといけないでしょう。

同時に、失敗を失敗と思わせない声掛けや配慮も時には必要でしょう。

 

とにかく、失敗に対するネガティブな思いをなるべく小さくしたい。

失敗は避けるものじゃないんだよって。

でも、子ども相手にそれを言葉で伝えるのは、イマイチな方法です。

 

言葉はオマケ。

 

行動を見せ、体験させてみるのが大切です。

 

事例でその方法を。

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たとえば、積木遊び。

我が家のある日の姿から。

 

まず、僕が少し高めに積み上げて見せます。

見せますと言っても、我が子(2歳)と我が子から見える場所で勝手に僕一人でやってるだけです。

 

ここで気を引けなければ、終了〜!デス。

興味がなければ続けない方がイイです。

前頭葉の活性化は、自ら意欲を持って取り組むのが大切ですから。

これは、先の認知症の実験における、川島隆太Dr.の報告にもあります。

 

ハイ、話を戻します。

 

上手いこと気を引けて、注目の熱視線を感じたら、わざと途中で崩れるように積みます。

 

崩れちゃったところで、

「失敗、失敗。」

と笑顔で言い、

「ヨシ、もう一回」

と言って、淡々とすぐに再び積み始めます。

これを2、3回繰り返します。

3回目くらいには、

「あ、一個高くできた!」

なんて、上達を見せたりして。

 

ハイ、これだけ。

 

これだけですが、子どもに4つの姿を見せています。

 1.大人も失敗する

 2.失敗しても問題無し(笑顔)

 3.すぐに再チャレンジする

 4.失敗を繰り返して上達する

 

こういった姿をいろんな場面で見せるわけです。

さすれば、子どもは失敗を恐れず、失敗しても自ら何度もチャレンジするようになります。

 

子どもの中で再チャレンジへの心的負荷が低くなるからです。

 

失敗をダメな事と思うと、子どもは再チャレンジを避けるようになります。

失敗をしたくないから。

 

そうなることが一番怖いこと。でしょ。

 

ハイ、事例の続きです。

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今度は子どもが自分で積み上げている時。

積み上げる途中で、やっぱり失敗。

 

そんな時は、

にっこり笑って何も言わず頭をなでなでしたり、

さっき見せたように、「よし、もう一回。」と、淡々と言って、最初の一個だけ置いてみたり、

「これでまた上手になるぞー!」なんて張り切ってみたり。

そんな感じです。

 

それでも子どもはそこでやめちゃうこともあります。

そんな時は、深追いせず。

様子見。

なんなら、大人の方は引き続き、積み木で一人で遊んでればいいのであります。

そしたら、再び向こうから来るかも!しれません。

 

いずれにしても、再チャレンジしやすいよう仕向けます。強要はせず。

 

失敗をバネにすることに関しては、以前もしつこいほど書いたので、そちらをご覧下さい。

③過程を大切にする

これはよく言われてることです。

 

結果にこだわるのはある程度年齢が大きくなってから、もしくは、ある程度スキルが上がってからです。

 

幼児期のうちに結果を求めても、良い事はありません。

 

まず一番の弊害として、困難なことに挑戦しようという気持ちが無くなることが指摘されています。

結果にこだわるということは、良い結果を求めるということです。

そうなると、自然と悪い結果を回避する方向にいきます。

その為、少しでも難しそうだと感じたら、最初からやらないようになるというわけです。

 

つまり、挑戦しない人になっちゃうのです。

 

ある人の名言があります。

 

「成功の反対は失敗ではない。挑戦しないことだ。」

 

う〜ん、カッコいい!

 

たしかにそうですよね。同感。

 

失敗は決してネガティブなものではないのであります。

挑戦しないことこそ、恐れなければなりません。

 

結果ばかりにこだわると、悪くすれば、悪い結果を隠す為や、短絡的に良い結果を得る為に、誤魔化したり嘘をついたり、不正したりすることもあります。

もしそうなっても、子どもを責められません。

全ては追い込まれた結果の自分を守るための行為なのであります。

結果について言及し過ぎてないか大人が振り返ることをオススメします。

 

ちなみに、「結果にこだわる」というのは、別に

「良い結果を待ってるぞ。」

「100点取ってこいよ。」

などと言うことばかりではありません。

 

子どもの良い結果を褒める。

 

これ自体も結果にこだわるのと同じになることがあります。

 

良い結果ばかりに注目していると、自ずと子どもの方に大人の期待に応えなければならないという強い意識が生まれます。

つまり、結果にこだわるのと同じなのです。

 

というわけで、結果よりも経過を大切に、時には失敗も褒めなければならないのであります。

 

では、どうやって??方法は??

 

とっても簡単!

 

「頑張ってるね。」

「いいね。」

 

の一言です。

 

子どもの姿をそのまま認める言葉です。

 

ここでポイント。

 

子どもが集中しているまさにその最中は、見守るだけにしときませう。

せっかくの集中力が切れてしまいます。

一区切りしたところで、声をかけることをお勧めします。

 

他にも、

「どうやってできたの?」

「〇〇してたんだね。」

 

なんて言葉をかけるだけでも十分です。

 

一般的には、子どもの年齢が上がるにつれて、あっさりと、一言で終わるくらいにしていくと、ちょうどいいと思います。

 

④自分自身で高める

 

さて、ここまで来たら特に言うことはありません。

というのも、あとは自分で高めるしかないでしょう。

最後に自分の能力への自信をつけるのは、自分自身です。

 

挑戦と試行錯誤を繰り返して、自信を少しずつ少しずつ積み上げていくのであります。

 

でも、大丈夫。

失敗をバネにしてきた経験が豊富な子ほど、大丈夫。

挑戦する勇気が育まれてます。

 

プロセスを大切にされた子ほど、大丈夫!

失敗しても試行錯誤する考える力と実行力が育まれてます。

 

さいごに余計な一言

 

ここまで書いといてなんですが、能力への不安もある程度大切だとも思います。

 

大きくなってからの話ですが。

 

むしろ、自分の能力になんの不安もないという人の方が珍しいのではないでしょうか。

 

不安だから入念に準備をし、不安だから努力をし続け、自身の能力を磨き続ける。

不安をバネにしている人は多いのではないでしょうか。

 

一方で、存在への自信がない場合、いくら能力的に磨こうとしても難しいハズです。

 

精神的に不安定だからです。

集中力も低ければ、意欲も低い。適切な目標設定すら難しくなります。

 

存在への自信は、いわば打ち上げロケットを支える土台です。

能力への自信は、ロケットの性能です。

いくら性能の良いロケットでも、土台が無ければ、揺らいでいれば打ち上がることはありません。

 

従って、理論的な順序としては、存在への自信があってからの能力への自信ということになります。

 

現実的にはどちらも同時並行的に対処が必要だとは思います。

が、この順序さえ知っていればきっと打ち上げには失敗しないはず!

 

というわけで、本日も長くなりました、、。

本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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