子どもに箸を使わせる。
日本人なら、いつかはやってくる至上命題。
保育所や幼稚園に勤務した経験から、箸の練習は2歳から始めるのがベスト!
だと考えとります。トーゼン我が子(2歳半)もちょうど今少しずつ箸を使って食べてます。
というわけで、本日はお箸についてのホントのところを、どこよりも具体的にお届けしまーす。
修正記事あります。
下に我が家で使ってる箸の商品名とリンクを掲載しました。ご興味のある方はどうぞ。
まずは「箸」について
原点から考えてみます。
箸は中国から伝わってきたもので、それが日本に広まり、次第に独自の箸文化に至ったようです。
というのも、
中国や朝鮮では匙を主に使う匙主箸従型である一方、日本では主に箸が使われ、また澄まし汁や味噌汁といったスープにも箸を使用するため、椀を手に持って口に運ぶのも日本だけであるとされる。
ウィキペディアより
世界では、4割が手掴み食べ、3割が箸、残り3割がナイフ、フォークと言われています。
その3割の箸文化の中でも、日本は特異な箸文化だと分かります。
日本人の手先が器用なのは、お箸を使うからだということはよく言われていますよね。
手先を使う=脳を使う
というわけで、ここで少し脳の話を。
手先を使うということは、脳を使うことでもあります。
手先は脳を広く使う
左側になかなか珍妙な格好のヒト(?)があります。
これは、カナダの脳外科医、ワイルダー・ペンフィールド氏が明らかにした、脳と身体部位との対応関係の図(右側)を立体化したものです。
ペンフィールド氏は、脳のいろんな場所に電気刺激を加えて、身体に生じた反応から対応関係を推測し、この図を作成しました。
というわけで、珍妙なバランスには理由があります。
脳の中の担当領域の表面積に対応するように描かれているからです。
つまり、手が異常に大きいということは、それだけ脳内における手の担当領域が広いということです。
つまりつまり、手先を使うということは、脳の広範囲を使うということが分かります。
つまりつまりつまり、脳の発達に欠かせないのであります。
だからこそ、幼児期に砂場遊び、製作遊び、手遊び、などなど手を使う遊びがたくさんあるのも納得でしょ。
そして、その重要性も。
なんてったって8歳までの脳はとっても柔軟ですから。
すごい速さで発達していきます。
この間にたっぷりと指先を使わせるのが良いのです。
そして、その期間、指先を使う機会といえば、遊び以外の代表が「箸」でしょう。
日本人は、箸を使うことによって、幼児期から微妙な指の使い方・力加減を習得しているのです。
箸を使って脳を使う
特に前回の記事でも書いたように、脳は慣れてない作業を求められた時に活性化します。
(難し過ぎてはいけません。この辺は前回の記事をどーぞ。)
「活性化する」ということは、どういうことか。
脳内の血流量があがり、ニューロンという神経細胞のネットワーク網に電気信号やタンパク質などの「情報」が駆け巡り、それに刺激を受け、「新たなネットワークを作る」ということです。
手先を使うと、血流量が10%上がるという報告もあります。
簡単に言うと、活性化することで「より発達した脳に仕上がる」というわけです。
こうして、「箸を使う」という脳内ネットワークが完成すると、箸を簡単に使えるようになります。
一方で、箸を使うくらいでは脳は活性化しなくなります。
箸を使う時期
いつものごとく、前置きが長くなった、、。
なので、ここは結論から。
冒頭でも書きましたが、2歳になったらそろそろお箸の練習開始!
オススメします。
練習といっても、大人はそんなに労力をかける必要はありません。
方法は後にして、まず理由から。
2歳までは乳児脳といって、柔軟な8歳までの時期ともまた違うとっても大切な期間。
脳が爆発的に発達を遂げる時期です。
というわけで、この時期に箸を覚えると、かなり定着しやすいし、固定化しやすい。
それに何より、日常的に指先を使うのに箸は最適!なのです。
最近は保育所でも箸を使う時期がかなり遅くなっていて、3歳くらいから始めるようですが、ハッキリ言って遅い!(※僕の周辺の保育所だけかもしれません)
とにかく、この時期に箸を使わないのはもったいない!
脳の発達からも、箸の練習効率からもです。
3歳にもなれば、スプーンやフォークの方が簡単だとよく分かりますから、箸が定着しにくくなります。
子どもからしたら「なんで簡単な方を使わせてくれないの?」「難しいからやっぱりスプーンがいいよー」
と、至極当然な疑問や要求も生じるわけです。
とは言え、やり方次第。もちろん3歳からでも大丈夫です!
箸を使わせる方法
それでは、ようやく方法について。
ポイントは以下の通りでございます。
ちなみに、この方法で我が家の長男はこちらが何も言わずとも自ら箸を持ってます。
不器用極まりない動作ですが、一生懸命箸で食材を刺したり、僅かながらに動かして掴んだりしとります(下写真、長男頑張るの図)。
①自分から持ちたいように仕向ける
こちらからは、「箸を使って食べよう」なんてストレートな言葉での誘い掛けはしません。
あくまで、自分から「持ちたい」と思わせる、いやいや、言わせるのが最も大切なポイントだと思っています。
まだまだイヤイヤ期な長男は、ちょっと機嫌損ねると、それこそ一生箸を持たないのでは・・と思う程の決意で拒否することは目に見えてるので。
こちらから誘うのは危険!!
というわけで、我が家の場合、具体的にはこんな作戦を展開しました。
- ★箸ってカッコいい大作戦★我が家ver.
- 1.キレイに集められてカッコいい!
箸を使うと、最後のご飯までキレイに集められることをアピール。たとえば、子どもが食べた後は、おそらく大人がキレイに集めて食べさせているハズですよね。そこで、一言だけ。申し添えます。
「パパ(ママ)が箸で全部集めてあげよう。」
スプーンを使う我が子に、いかにもスプーンやフォークではできないんだよみたいな感じで。できるけど…。 - 2.小さいものもつまめてカッコいい!
ご飯粒や、豆など、子どもが食べられなくて困っている時に、サッと箸でつまんで食べさせてあげます。ここでも一言だけ。
「パパ(ママ)が箸でつまんであげるね!」
「カッコいいでしょー!」
みたいな感じでやりました。 - ★本作戦のポイントは、子どもが困っている時に、サッとかっこよく助けてあげること。箸を使って。
カッコいいモノは使いたい!これ、反抗期だろうが関係なし!子どもの本能です。
なので、箸を使うカッコよさをアピールします。
ホントのところ、箸を使わせるのに一番大切なのは、入り口であるこの期間。と言っても過言ではない。
だから、本作戦はじっくり時間をかける心構えで。
焦りは禁物です。
果報は寝て待て。
あとは子どもからの使ってみたいアピールを待ちませう。
幼稚園や保育所では、「導入」というのですが、カリキュラムに入る時に、いかに子どもたちの興味を引き、モチベーションを高めるかという点は非常に大切にします。
紙芝居、ペープサート、手遊び、パネルシアター、日頃の生活の連続性などなど・・手を変え品を変え「導入」を行うのであります。
これがカリキュラムの成功を左右するほど重要だからです。
子どもたち自らが「やってみたい!」「早くやらせてくれ!」と、思うよう仕掛けていくのであります。
ご家庭でも、「入り口」を大切にすることが成功への近道だと考えております。
②まずは大人の箸を渡しちゃう
そんなこんなで、見事「導入」が功を奏し、子どもの側から使いたいアピールがあったら、まずは大人の箸を渡します。
「ん?使ってみるの?」
なんて勿体ぶったりなんかしちゃったりして。
これくらいの演出はご愛嬌。やっといて損は無し。
そんでもって大人の箸を渡します。
トーゼン使いにくい。
ということで、
「よし、あなたのお箸を買おうね。」
と、なるわけです。
③おススメな箸、やめた方が良い箸
もちろん、一緒に買いに行ってもいいです。
ただ、一緒に買いに行くと、こちらの思惑とズレた商品に目が行くのが心配だという場合は、あらかじめ買っておいても良いと思います。
箸は、子どもに選ばせてはいけません!
失敗のもとです。
必ず大人が持ちやすいと思う箸を選ぶべきです。
おススメは、我が家でも使っているこの箸。上の写真で使っている箸です。
三角になっていて、持ち手の部分が等間隔で削られているので、指の位置がしっくり決まりやすい。
実際に、2度3度軽く持ち方を教えただけで、持ち方については全く言及していませんが、上の写真(長男頑張るの図)の通りです。
残念ながらネット上でこの箸を見つけることができませんでした・・。
反対に、やめた方がイイ箸もあります。
◉指を入れるリング付きの箸
これらは極力使わないことをオススメします。
なぜなら、このタイプの箸には、正直効果を感じたことが無い。
じっくり観察すると、本来掴む方向に力を入れるべきですが、リングが付いている箸を使っていると、箸を開く方に力を入れるクセが付いちゃうことがあるからです。
このように逆の方向に力を入れるクセが付いた場合、余計時間がかかります。箸に付いているリングの数が多いほどその傾向にあると感じています。
◉先端が膨らんでいる箸
リングが付いてるタイプの箸に多いのですが、先端が膨らんでいる箸も避けた方が良いと思います。
これは、掴んだ食材が落ちにくいというのが狙いのようですが、
何より、食材を刺すことができない。
後で詳しく説明しますが、箸の持ち始めは、刺して食べても良いのです。
しかし、先端が膨らんでいる箸だと刺せないので、最初から箸を動かして掴まないといけなくなります。
慣れない箸で、さらにそれを動かして掴んで離さず口へ運ぶ・・これは、慣れない(ちょっと難しい)を超えて、難しすぎる課題となる可能性があります。
こうなると、最も怖いモチベーション低下。箸嫌いにつながる可能性があります。
◉ピンセットタイプの箸
ピンセットのように、お尻の方がくっついているタイプの箸は、まぁ、なんとか許容範囲内だと思います。リング付きと異なり、掴む(閉じる)方に力を入れなければならないことが理由です。最初からくっついているタイプより、通常の箸に取り付けるタイプがいいのかなと思います。
これらは、全てピンセットタイプとみなしています。
でも、
ホントのところは、サポートが付いてるしつけ箸全般やめた方が良いです!
これまでの経験上、最初からサポート無しの箸が良いと思っています。
特に、不器用な子ほど。
2歳から、通常の箸を。
もちろん、発達障がいのお子さんも例外ではありません。
脳科学者の澤口俊之氏は、発達障がいの改善にも力を入れていますが、澤口氏も著書の中でその点に言及しています。
考えれば当然です。
脳は使えば発達するわけです。
幼い脳ならなおさらです。
この事実に障がいの有無は関係ありません。
サポートをたくさん盛り込んで、
「手先を使わせない(=苦労させない=脳を使わせない)」方向に支援するのではなく、
「自ら意欲的に使わせる(=適度に苦労させる=脳を使わせる)」方向に考えなければならないのです。それも脳が柔軟なうちに。
これがホントのところです。
さて、子ども自ら意欲的に箸を持たせるには、魔法の言葉が必要です。
2歳児~3歳児にとっては、「パパ(ママ)と一緒だね」は殺し文句。
非常に効果的です。はい。
マイ箸を手渡したその時から、「一緒だ~!」「パパも」「ママも」と、お互いに箸を見せ合って、強調してあげてください。
④持ち方をしつこく教えない。
持ち方は、いきなり正しい持ち方を細かく教えるなんてことはしません。
我が家では、鉛筆の持ち方と同じように持たせました。
ここで、1つポイント。
箸を持つまでに、きっとマーカーや鉛筆を持ったことがあると思います。
その時に、正しい持ち方を教えておくことは非常に大切です。
もちろん、しつこくならない程度に。
言葉はあまり必要ありません。
そっと持ち方を直してあげるだけ。が、オススメです。
よく何かを教えるときに、言葉で細かく教えようとするケースがありますが、あまり良い方法ではありません。悪ければ逆効果です。特にイヤイヤ期は。
何も言わず、そっと直して、「いいね!」と一言。
これだけでいいのです。
鉛筆やマーカーの正しい持ち方をある程度経験しておくと、箸を使う時に非常にスムーズです。
というわけで、
持ち方は一番最初に箸を渡した時に少し教えるだけ。
「鉛筆と一緒」「ジロジロ(お絵かき)と一緒だよ」
と、言って手を添えて鉛筆のように持たせるだけ。
あとは黙って見守ります。
ですが!
ホントのところ、持ち方はグー握りでもいいのであります。
理由は⑥にて書いてます。
⑤使い方はほぼ自由(極力言及しない)
①から順調にいけば、やる気十分。箸を持っていることが嬉しくてしょうがない状態のはずです。
この気持ちをなるべく維持することが大切。
正しい持ち方、正しい使い方、食べ方は二の次!
割り切っちゃいます。
この段階では、当然まったく箸を操作できません。
我が子もまだまだなかなか掴めないし、食べれない。
かろうじて箸にひっかかった食べ物が、落ちるのを防ぐ為に左手がフォロー。
でも、それでイイのであります。
出来ない点を指摘しても良いことになりませぬ。
ぐっとこらえて何も言わない!
ただ、注意したいのは、そんななかなか食べられない状態が長引くと、意欲低下が懸念される点です。それが一番怖い!
というわけで、「箸で刺して食べる方法」を教えました。
マナー的には好ましくないかもしれませんが、意欲低下よりは全然マシ!
正しい方法はまだ難しすぎる。それを教えて意欲低下を招くよりは全然マシ!
なのであります。
⑥目的は脳の活性化と考えよう
思い出して下さい。
持ち方が間違っていても脳は活性化しています。
子どもは、大人と同じように箸を動かして食べたいのであります。
そのために、一生懸命箸を動かそうと頑張りながら少しずつ食べています。
それが大事!
その時に、間違いなく小さな脳が活性化しております。
上手に持てなくていいのです。上手に使えなくていいのです。
頑張ってる最中こそ脳は動いてます。
器用な脳に向けて発達しています。
そう思い、わずかでも箸が動いているのが見えたら、
「あ、箸が動いてるね!」
と、喜ばしいことばをかけてあげませう。
「持ち方、いいね。」
と、ときどき確認かねて褒めてあげませう。
できてない点の指摘は極力、極力しない方が良いです。
⑦正しい持ち方への誘導も堅持
とはいえ、正しい持ち方と操作の仕方も教えたいですよね。
基本的には、大人の箸の持ち方と操作の様子を「見せる」ことが中心です。
あとは、そっと持ち直し作戦。
それらを少しずつ、少しずつ。様子を見ながら。
ここでも時々例の殺し文句を。
「ママ(パパ)と一緒だね(一緒になってきたね)。」
と、子どもの箸の動きが一緒になっていると誇大広告を打ったりしながら。
もう1つ。
個人的には、「鉛筆の持ち方」は崩させないようにしています。
しつこくならない程度に。
乱れたときは、時々そっと持ち直させてます。
長くなりました。。
箸の使い方については、また折りを見て我が家の報告をできたらいいなと思ってます。
恥をしのんで。。
念のため、ここにも我が家使用中のお箸を。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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