前回の記事の続きです。
本日も「言うことを聞いてくれない子ども」がテーマ。
本日は後編。
なので、
まずは前編から読んでいただきたい!
でないと意味が分からないと思いますもんで。
さて、前編からの続きですが、ここで一つ。
諸注意が。
どうやら、前回の記事で、子どもに「言うことを聞かせないといけない」という思いに駆られ、1から10まで子どものやってほしくない行動が目に付くようになったという方がいらっしゃるようで。
ま、我が奥様なんですがね。。
おかげで感情的になる場面が増えたとか。。
うーん、恐ろしいですね~。文章って。
「全て言うことを聞かせる」なんてのは不可能ですし、そうしようとすれば、親子共倒れは確実でしょう。
僕が僭越ながらも提案したかったのは、
「とにかく全く言うことを聞かない状態で、困っている(反抗期を除く)」
そんな状態の時の原因の可能性を示したかったのと、
数回に1回、
前回と、今回の記事のような対応をすることで子どもの行動が変わりますよ。
ということです。
毎回毎回、全ての問題行動に対して。
となると、共倒れです。
と、言い訳を記し、本文へ。
⑥言葉の重みが失われている
言うことを聞かない最後の原因は、「言葉の重みが失われていること」です。
言葉の重みが失われる要因は、大きく2つあります。
1.約束を反故にしちゃう
2.ことばだけで実行しない
大きくこの2つです。
順番に説明します。
1.約束を反故にしちゃう
いつものように、具体的な例から。
場面①
たとえば、お買い物に行く前に子どもと約束をします。
母「今日は、おやつは買わないからね。」
子「うん、わかった。」
そして、いざ買い物に行くと・・
子「アンパンマンのチョコが欲しい!」
と、訴える子ども。
母「約束したでしょ。今日は買いません。」
拒否された子どもは、激しく泣き喚き、抵抗を始めます。
結果、
母「もう!じゃあ一つだけよ!」
と、最終的に買う。
他にも、場面②
今日はレストランへお出かけ。
いつも店内で立ち歩いてしまう我が子に、お母さんは前もって約束します。
母「今日は、最後まで座って食べるんだよ。」
母「途中で立ち歩いたらもう帰らせるよ。」
子「分かってるよ。」
でも・・・やっぱり今日も立ち歩き。
母「こら!立ち歩かないって言ったでしょ!」
母「座りなさい!」
子「はーい。」
素直に座り、再度食べ始める。
が、また立ち歩く・・。
最後はお母さんが食べさせる。
こんな感じです。
場面①と②どちらも、事前の約束を子どもが破ってしまっていることは言うまでもありません。
ですが、そこは重要ではありません。
重要なのは、
お母さんもまた、約束を反故にしていまっているという点です。
場面①では、
「今日は買わない」という約束を反故にしています。
場面②では、
「立ち歩いたら帰らせる」という約束を反故にしています。
てな具合で、約束をしても子どもも、そして親も守らない。
こんな状況がいつも続いていると、約束の意味は無くなります。
悪いことに、
親自身が約束を守っていないことに、無自覚な場合が多いのです。
子どもばかりに目が行き、親も約束を破っていることに気付いていないのです。
「たまに」「時々」なら良いんですよ。
いつも、毎回、ほとんど、こんな状況。
もしそうなら、マズイです。
結果として、親のことばの重みは失われ、ヘタするとただの雑音です。
2.ことばだけで実行しない
これも約束を反故にすることとほとんど同じ意味なんですが、一応分けて説明します。
こんな感じです。
場面③
公園で遊んでいる子ども。
でも、そろそろ夕食に帰らなくてはならない時間。
「片づけて帰るよ」
と言っても、
「いやだ。まだ遊ぶ。」
と、遊び続ける子ども。
しばらく待つも、もう限界。
「もうママは帰るからね。知らないよ。」
と、言って帰るふりをするけど、まったく動じない子ども。
結局、強引に抱えて帰る始末。
場面④
食事中、遊び食べで、なかなか進まない長男。
母「もういらないんだね。」
母「お母さんが食べるよ。」
と、声を掛けるも暖簾に腕押し、糠に釘。
結局、食べさせないと心配だし、最後はお母さんが口に運んで食べさせる。
もしくは、どうしても食べないから残させておしまい。
もひとつおまけに
場面⑤
母「おもちゃを片付けて。ご飯にするよ。」
と、何度呼びかけても片付けが進まない。
最後には
母「片付けないならおもちゃを捨てるからね!」
それでもなかなか片付けは進まず、結果、一緒に片付ける。。
そして、毎日のように叱って片付けさせる日々。。
こんな感じです。
お母さんが言ったこと
場面③「もう帰るからね」
場面④「ママが食べるよ」
場面⑤「おもちゃ捨てます」
は、実際には全て実行されてないことがわかります。
言葉は少し乱暴ですが、
”脅し”で終わる。
実際こーゆー場面て、かなり多いのではないでしょうか。
脅しで終わるということは、
お母さんが言ったことを実行しない。
ということ。
これが積み重なると、お母さんの言葉の重みを失わせます。
そうなれば当然、子どもはお母さんの言うことを聞かなくなります。
「もうあと5分しか待たないよ」
「すぐ片づけないと、おやつ無しにします」
「自分でやらないと連れていきません」
こういったことを言いながらも、毎回毎回、実行に移されない。
何気なく言った言葉だとしても、チリも積もればなんとやら・・。
やがて、言葉の重みは失われ、子どもは無意識にそれを学びます。
「ま、大丈夫。」
なんて、無意識で体が思ってるわけです。
原理原則から考えてみる
ここで少し方向性を変えて。
前回の記事に書いた人間の行動における原理原則。
それを使って、先ほどの事例を見てみます。
原理原則については過去記事を見てくださいね。
場面①では、
泣きわめく→おやつゲット
場面②
立ち歩く→ご飯食べさせてもらう
加えて、場面①と②のどちらも
約束を破る→デメリット無し
となっています。
続いて場面③
遊び続ける→抱っこして連れて帰ってもらう
場面④
遊び食べ、立ち歩き→食べさせてもらう
場面⑤
片付けず遊ぶ→片付けてくれる、手伝ってくれる
お気付きの通り、場面①から⑤まで。
全ての対応が真逆になってることがわかっていただけると思います。
全ての事例で、間違った行動の後に嬉しいことがあります。
このことについては、前回の記事で散々書きました。
真逆なので、まず好ましくない行動は減りません。
下手すれば増えます。
これに加えて、お母さんが言ったことを実行しない。
言葉の重みは失われ、空虚なものになる。
という、二重苦になっているというわけです。
好ましくない行動は増えるわ
お母さんの言葉は空振りだわ
で、それが年を経るごとに、積み重なり積み重なり、重症になるわけです。
子どもは意識的にそうしてるわけではなく、体に身についてしまっています。
そうなると、理屈じゃない。
だから、余計手強い。
実行する
ということで、言いたいことは、
数回に1回は、脅しで終わらず、実行しませう!
これだけで、言葉の重みが失われることを回避できます。
決して毎回やる必要はありませぬ。
そんなことすれば、たどり着く先は、親子共倒れです。
一度失われた重みを取り戻すには、容易ではありません。
なるべく早い時期から実行されることをオススメします。
思春期までその状態が続けば、様々な悪影響が出ます。
これは間違いないです。
僕はたくさん見てきました。
そうなってからでは、対応はかなり難しいです。
実行するために
ここで、大切なことがわかります。
子どもとの約束はまず、大人が試される。
ということです。
もし、大人の言葉の重みが失われている状態なら。
まず大人の方が約束を大切にしないといけない。
ということになっちゃいます。
大人の姿勢が見本となるのはもちろん、約束を無意味なものにしてしまうのも、大人の姿勢次第。
でも、実際は大人の多くが無意識で、約束を破り、約束とは無意味なものなんだよと教えてしまっているのであります。
というわけで、2つの提案。
①約束する時には、子どもが確実に守れそうな簡単なことにするよう意識してみる。
簡単に守れるので、単純に約束を破られる確率が減ります。
おまけに何が良いかというと、これにより、褒める機会が増えます。
約束を守る→褒められる
ということで、原理原則通りいけば、約束を守る行動が増える可能性が高まります。
ですが、現実問題、必ずしもそんなことばかりしていられないでしょう。
なので、2つめ。
②あらかじめ、実行に移す覚悟で約束する。説得する。
大人の方が、
今からする約束を、実際に守らせることができるか。
約束を反故にしないで済ませられるか。
少しだけ考えてから発言する。
コレ、結構難しいカモです。
今まで条件反射のように言っていた(かもしれない)決まり文句。
「あと1回だけで終わり」
「おやつ無しにする」
「もう帰らせるよ」
「おいていくよ」
「おもちゃを捨てるよ」
などの発言。
本当に実行する覚悟で言っちゃう。
たとえ条件反射で言ってしまった後でも、実行を検討してみる。
繰り返しになりますが、数回に1回て良いのです。
で、このような意識になると、おまけの副作用がついてきます。
今まで反射的に言っていた約束や説得の言葉を言わないという選択肢を選ぶ頻度が自ずと高まる。
これで、無意味な押し問答が減ります。
この2つさえ意識すれば、次第に、
「約束する」ということはどういうことなのか。
それを子ども達が学びます。
このことは大きくなっても必ず役に立ちます。
厳しい言い方をすれば、⑥のケースに陥っている場合、大人が自身の発言に責任をもっていないということになります。
ことばに責任をもって子どもと接する。
それが言うことを聞かない子どもを改善する手立てになるかもしれない。
というお話。
あ、ちなみに、念のための話。
脅しが悪いと言っているわけじゃないですよ。
脅しだけで終わってばかりでは、言葉の重みを失う。
また、条件反射のように頻繁に脅しても脅しの意味を失う。
ということです。
僕が言いたいのは、結局、
大人は自身が言った言葉に責任を持ちましょう
ということです。
自戒の念も込めつつ、、。
どれだけその言葉に責任をもって言っているか。
本当に実行できることなのか。
それを考えてから言う必要があるということです。
自戒の念も込めつつ、、。
「あと1分だけ待ちます」と言うとき、どれくらいの覚悟でそのことばを使っているか。
本当に1分だけしか待っていないのか。
本当に置いていくことがあるのか。
楽しい予定自体を中止することがあるのか。
時々でいいのです。
実行に移しましょう。
逆に言うと、実行に移せないことばは、減らしましょう。
実行できないことばは、ほとんどが無意味なのです。
そうすることで、指示や注意、叱責が初めて意味をもちます。
ことばが重みをもつからです。
ことばに重みがあれば、大きな声で叱る必要もなくなります。
冷静に「あと1分だよ」と言えば、子どもはきちんとその意味を理解します。
実行に移さない場合、ことばはやがて、子どもにとっては騒音と変わらなくなります。
軽くなったことばは「音」と同じです。
上記のことばを実行に移そうすれば、色々と労力がかかるのも事実です。
約束ごとやルール作りが事前に必要ですし、周囲の大人たちへの事前の根回しや、実行後の処理も必要でしょう。
置いていく場合は、家に一緒に留守番してもらうお父さんが必要かもしれません。
予約していた場所なら、キャンセルしなければなりませんし、代わりの日にちの予定も組んでおく必要があります。
もし、失敗して約束が守れなかった場合にも、すぐに次のチャンスがあることが大切だからです。
失敗するという経験はとても大切です。
同じように、失敗のまま終わらせないことも配慮として大切です。
再挑戦の機会はなるべく早めに与えてあげると良いと思います。
その時に失敗から学び、成功できれば子どもたちの自信や成長につながります。
ことばに重みを持たせるには、それなりに手間暇がかかります。大変です。
しかし、「何度言っても同じことの繰り返し・・」という状態に陥っている方がおられたら、ぜひ、ご自身のことばを実行しているか振り返ってみて、実行に移してほしいと思います。
失敗した時のコツ
最後に、ちょっとしたコツを。
もし、約束を守れなかった場合も怒る必要はありません。
「今回は残念だったね。次ちゃんとできれば○○できるよ。」
と笑顔で伝えれば大丈夫です。
相手が泣きじゃくってもこちらは笑顔。
あとは泣き止むまで応じなくても大丈夫です。
泣き止むまでそっとしとく方が良いです。
こちらは毅然とした態度で接しましょう。
また、一度実行に移すと決めたら、最後まで貫いてください。
根負けは危険への第一歩です。
言葉の重みがすてに失われて久しい場合。
急に実行に移すと、これまで以上に激しい抵抗にあうことでしょう。
ところかまわず泣きじゃくり、寝転び、大声でわめき・・。
しかし、それにも負けずに最後まで貫いてください。
その激しい抵抗期間を過ぎれば、徐々にことばに“重み”が生まれ、コミュニケーションが円滑に取れるようになることと思います。
さいごに
前編後編と、長文になりました。
前編から後半までの間が開き、申し訳ない限りです。
いま、子育てに関する情報を探せば、どこを見ても、
「のびのびと」
「子どもの思いを大切に」
「子ども中心」
などのような言葉が並んでいます。
もちろん、どれも大切なことです。
子どもの健やかな成長には欠かせないことでしょう。
しかし、何事も「過度」になると、とたんに薬は毒になり得ます。
子どもを大切に思い、一生懸命な保護者ほど、これらの情報を「過度に」守り、上記のような姿になってしまいがちです。
保護者としては、「こんなに頑張っているのに、子どもはまったくいうことを聞いてくれない」となり、育児ノイローゼにまで発展するケースも多々あります。
それは非常に悲しいことです。
何事もほどほどに。
ちょうどいい加減で。
皆さまの子育てがハッピーになりますやうに、、。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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